【編集長インタビュー vol.3】一人ひとりが輝くための舞台。No Frameが考えるセルフプロデュース

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こんな方にお話を伺いました
唐しゃゆ(しゃゆーん)

「NoFrame」代表。上海うまれの上野・浅草そだち。日本大学大学院文学研究科中退。リモートワーク歴10年。自分が興味をもったものは即検索・即実行がモットー。通算4000人以上、子どもから大人まで幅広い世代のかたと面談してきました。その結果、スタートアップ・ベンチャー企業の総合的な立ち上げ支援のかたわら、全世代の仕事・育児・教育が融合した新時代のコミュニティ・スペースの設立に奔走中です。

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誰しも痛みを持っていること。他者との共有が生きづらさを抜け出す一歩に

鈴木せいら
プロジェクトの全般を通して、唐さんが実現したいことは「場づくり」なのでしょうか?
しゃゆーん
いえ、「場づくり」は一番に来るものではなくて、手段なのだと思っています。目の前の人が困っているならその人を手助けしたいなと思う、それが私の中での動機づけになっています。じゃあ、その困っている人は誰なのかというと、前にもお話したように学習塾で出会った子どもたちや、前職で対峙してきた方々の顔が浮かびます。
しゃゆーん
その人たちのどういった課題を解決したいか突き詰めていくと、難しい問題ではありますが、根底に「なぜ自分が生きているのか」「生きていて自分は何かの役に立っているのだろうか」という悩みが共通にあるように感じました。日常的に大きな事件や困りごとがなかったとしても、自分の存在意義を感じられなくて、明確な言葉にならない不安や苦しみを抱えている人が多いように思いました。
しゃゆーん
そういう人たちの一人ひとりが「これまでの自分の人生を歩んできてよかったな」と感じられることがあると思うんです。誰かに褒められたり、お礼を言ってもらえたり、自分のことを気にかけてもらえたり……。
鈴木せいら
唐さんが仰る通り、誰しもどこかの誰かの役に立っているんだと感じられたら、それは大きな喜びになりますよね。
しゃゆーん
そうなんですよね。例えば何か自分が大変だったけれど乗り越えることができた体験があったとして、今現在似たようなケースで困っている人がいれば、話を聞いたり共感を寄せたりすることができますよね。
しゃゆーん
自分が何か乗り越えてきたもの、このメディアでは「枠を飛び出す」と表現していますが、そういう体験がないと共有できない感覚もあるように思います。もちろん、その体験で感じたリアルな感情や困難というのは、自分にしか分からないもの。本当の意味では、他者と共有することはできません。だけど「共有できない痛みがある」と理解していれば、他者を尊重しながら分かち合おうとすることができる。それは、人が生きる上で大きなカギになると思います。

オンサイトの重要さ 徒歩経済圏の充実

鈴木せいら
そうですね。誰ひとりとして同じ人生はない。それを前提とするなら、誰かと痛みを共有することはできないと思います。
しゃゆーん
それから、前職のオンラインアシスタントサービスの仕事をフルリモートで進め、オンラインだけでのコミュニケーションを通して思ったことは、やはりオンサイトの距離感には勝てないなって。
しゃゆーん
仕事以外の部分、プライベートで誰かの力を必要としていたり、本当に自分が困っていたりする場合に、物理的にどうにかしてあげられる距離には限りがありますよね。いわゆるマイクロ経済圏、徒歩経済圏。それが今後、重要になってくると思います。今まさに直面している方が多いかと思いますが、通勤ひとつとっても大変なこと。子どもを預けるにはどうすればいいのか、テレワークにも限界があり、子どもを見ながら自宅で仕事をすることは決して簡単なことではありません。
鈴木せいら
同感です。
しゃゆーん
今後、世界中を気兼ねなく移動できる状況に戻るにはどれだけの時間がかかるかわからない、移動の制限があります。ですから自分が歩いていける範囲にコミュニティがあるということがすごく重要になってくる、そこを活性化させるためのものが必要なのではないかと思っています。家庭でも職場でもない、不思議なゆるやかな空間。そういう場所があれば良いなと。

セルフプロデュースがなぜ大切なのか? 場によって「なりたい私」も変わってくる

しゃゆーん
昨今は子どもに限らず、大人でも「あなたのやりたいことは?」「あなたの夢は何ですか?」と聞かれる場面がありますよね。それはちょっと酷な質問というか。真正面からそう聞かれて、おそらく大多数の人は答えられないのではないでしょうか。
鈴木せいら
確かに、歯切れよく答えられる人は少ない気がします。
しゃゆーん
と思います。言葉にしたことで実現していける場合もありますから、それはひとつの成功例として良いのではないかと思います。ただ、逆に作り出した「やりたいこと」や「夢」に縛られてしまう怖さもあります。
しゃゆーん
時間をかけてつくっていく、積み上げていくことが重要だと思っていて。別に誰かを感動させるような素晴らしいことじゃなくて良いんですよ。あるいは、何度も挫折したり失敗したり投げ出したり試行錯誤した積み重ねの中から自分のコアな部分が見えてくることもありますよね。
しゃゆーん
結局何にしても、やる・やらない、考える・考えない、どう捉えるか、どう感じるかは本人の問題。他者が干渉できることではないと思います。ですが、「こういう方法論もあるよ」「わたしも同じような気持ちになったよ」「あなたはひとりじゃないですよ」と伝えることはできるはず。
しゃゆーん
SNSが発達して、世の中にはキラキラした人、すごい人で溢れているように見えます。ですが、ビジネスアイディアひとつにしても、世の中ゼロイチのものなんてほとんどないんですよね。必ず似たようなことを誰かが考えていて、先人がそれらしきことをやっている。だから、臆する必要はないと思うんです。自分の捉えかたやプロデュースの仕方、表現方法によっていかようにもなるはず。ただ、その自己表現やプレゼンテーションの方法を知らない人がまだまだ多いのかな、と感じています。

鈴木せいら
見せ方、セルフプロデュースのスキルが大切になってくるんですね。
しゃゆーん
そう思います。また、「なりたい私」が属するコミュニティーやシチュエーションによって変わってくることもあります。私の思う私、本当の私というイメージでさえ、場所や時間帯、軸になるものに左右されませんか?それは、コミュニケーションやアウトプットは相手あってのものだから。それなのに、画一的に「こうでなければ」という縛りがあると、苦しいと思います。
鈴木せいら
最後に、「No Frame」を含めプロジェクト全般を通して、唐さんご自身が果たしていきたい役割について、どうお考えですか?
しゃゆーん
私の中で思っているのは、舞台装置を作る役割ですね。一人ひとりにスポットライトをあてたい。みんな自分専用の舞台装置に立って好きに暴れてほしい(笑)それをひとりの人が自前ですべて用意するのは大変ですから、場と装置と光のあて方を私がやります、と。そのための「No Frame」であり、そのためのコミュニティースペースづくりです。それで、最終的にはその人自身が何かを得てひとり立ちしていけたら、というのが私がプロジェクトを通して描いている希望です。
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AUTHOR

鈴木せいらのアバター 鈴木せいら ライター・歌人

ライター歴11年目。北海道在住。本とビールと珈琲が好き。

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