周りに合わせることができなかった幼少期
僕は幼少期から集団で行動するのが苦手だった。
中学生になって少したった頃、僕は突然学校に行くのを辞めた。同級生の「〇〇君最近、調子乗ってない?」や「〇〇の事嫌いなんだよね~」といった陰口に嫌気がさしたからだ。僕だってそういうことを思うことももちろんあった。でも、それを他の誰かに共有する理由が全く理解できなかった。みんなの前では仲良くし、体育祭や文化祭などの学校行事は「力を合わせて頑張ろう!」と意気込むのに影ではコソコソ陰口をいう。それが当たり前な周りに嫌気がさしていた。
僕は小学生の頃から、友達と自分の家で集まってゲームをしている中、一人だけ途中で別の部屋で本を読んだり、上級生になっても自分の名前以外の字が書けなかったりなど周りと少し変わっていたみたいで精神科や心療内科などに連れていかれたことがある。
中学生の頃にリビングで「発達障害について。」という本を見つけた。
最初はなぜ、その本が家にあるのか意味が分からなかったが、両親やおばあちゃんなどにはサボらず学校に行きなさい。と言われる度にどうして?なぜ、みんなと同じようにしないと行けないのかを聞くたび、返答に困っていた。いじめられている訳でもなく、突然で学校に行かない選択をしている「自分はもしかしたら他の人と何か違うのかもしれない」と考えるようになった。
「普通って何?」
人と違うことが悪だと自分を全否定されている気分だった。
そんななか、テレビにマイケルジャクソンが亡くなった報道が目に入った。
街頭インタビューを受ける日本人が物凄く泣いていてる姿を見て僕は衝撃を受けた。会ったこともない、話したこともない人にここまで影響を与える人が存在するのかと思った。その瞬間、僕の曇っていた心に眩しいほどの光が差し込んだ。僕も人の人生に影響を与えれる人物になりたい。
この世に生きている証を残したいと強く思った。
そこからは一気に気持ちが楽になり、次の日から学校に行くようになった。よくよく考えると中学を卒業したら、クラスメイトには会わなくなるのに何をそんなに悩んでたんだろうと吹っ切れた。「自分のことを嫌っている人に好かれようとするのではなく、自分のことを大切にしてくれている人をまずは大切にしよう」と思ったのだ。
人生の最大分岐点
小さいころからずっとダンスを習っていた。
ダンスは好きだった。けれど、どこかしっくりこない。
そんな時、幼馴染から教えもらった「one ok rock」というバンドに出会った。
ここが人生の分岐点だった。
ONE OK ROCKのアンサイズニアという楽曲にこんな歌詞がある。
「死ぬ間際に悔いはないと言えるように生きてたいだけ」
この歌詞を耳にした時、こんなにもストレートに自分の世の中に対する不満や思いを訴えかける音楽があるのだと初めて知った。僕も世の中に自分の声で、自分の言葉で発信したいと思った。教えてもらったその日に幼馴染とバンドを初めようと決め、楽器が弾ける人を探し回りバンドを結成し、高校を卒業するまでの二年間ライブハウスなどでライブ活動を行った。
夢を目指しスタートを切る!と意気込むが突然の訃報
幼馴染と結成したバンドも卒業のタイミングで解散。僕は大阪にある音楽の専門学校へと進学した。入学してからは、物凄いスピードで時間が流れていった。新しいバンドの結成、学校にバイト。あっという間だった。
二〇歳のころ、高校の3年間一緒にバンドをやっていた友人の訃報が突然届いた。連絡をもらったとき実感が無さすぎて涙も出なかった。僕は高校を卒業をしてすぐに地元を離れたので、かれこれ二年ぐらい友人とは連絡をとっていなかった。それでも、お通夜で、もう二度と彼とは話せないのかと思うと涙が止まらなかった。
その後、彼は自殺だったと耳にして、ますます苦しくなった。
「もし、僕がバンドを解散しようといわなかったらこんな事にはなってなかったかもしれない。」
「もっと、頻繁に会ったり連絡を取れば良かった。」
いろんなな思いが頭の中をぐるぐると駆け巡った。
亡くなって初めて彼のことを考えている自分に苛立ちと共に恐怖を感じた。
僕は後ろ向きで前進することに決めた
今まではステージで表現することだけを考えて音楽活動をしてきたが、このままだと素敵な趣味で音楽活動が終わるのではないかと焦りを感じ始めた。だから、専門学校の授業コースをミュージシャン科からマネージメント科に変更した。さらに上に行くためにはセルフプロデュースが何よりも大事だと考え、同じ学校内のバンドのプロデュースをしたりやSNS運用などを勉強を始めた。
前を見て進み続けることは、とても大切なことだと思う。でも、人は一人では生きていけない。一人では何も出来ない。色々な人達が関わってくれているおかげで今の自分がいる。最も怖いことは、戻れない時間の為に進むはずの時間が奪われることだと僕は思う。
時間は絶対に戻らない。
だから僕は「あの時、こうしていれば良かった」と後悔をしない為に後ろ向きで前身することに決めた。