「後継ぎ不足」「人手不足」が課題だといわている農業。農林水産省の就農調査結果によると新規自営農業就農者は4万100人、このうち49歳以下は8,440人で、前年に比べそれぞれ6.2%、8.1%減少し、新規雇用就農者は1万50人、このうち49歳以下は7,360人で、前年に比べそれぞれ 1.1%、3.8%増加しています。最近ネットやハローワークで「農業求人サービス」を見かけるのは、農家にならずとも農家に就職する人が少しずつ増えているからなのかもしれません。
そもそも農業はどんな仕事があるの?
農業は主に食べ物を作る仕事ですので、まず田や畑を耕す作業をイメージする人が多いかもしれませんが、実際には土を耕したら、種や苗を植える作業があり、その後は、収穫をするまで日々手入れが必要です。
昔はすべて手作業で行っていましたが、最近では機械化が進んだことにより、手間と時間を短縮できるようになりました。とはいえ、雑草を抜いたり、肥料や水を与えたり、台風が近づいてくるようなら作物を守るための処置を施すなど細かな手作業も欠かさずあります。そして、時期が来たら収穫をし、収穫した作物は、箱や袋に詰めて出荷する……ここまででようやく一区切りとなります。
かつての農家は、作物を作りさえすれば収入を得ることができていました。しかし今では、こだわりのある作り方や食味など、他の農家との差別化をはからなければ生業として継続していくことが困難になってきているようです。また販売を既存ルートだけに依存にせず、独自で市場ニーズを分析していくことや販路の開拓など、自ら考動(行動)することが農業を続けていくには必要になってきました。
農業法人に就職するにはどうしたらいい?
厳しさもある農業ですがそれでも農業を始めたいとなったとき、自ら農家を営む(自営)のか、まずは農業法人へ就職(就農)するのか選択することになります。
その中で農業法人等に就職することを選んだ場合、収入は出来高制ではなく給与として支払われるので、独立するよりも安定性が高いというメリットがあります。最近では求人を出す農業法人も増えてきていて、インターネットやハローワークなどで探すことができます。以下にご紹介する通り農業に特化した求人サイトもありますので、そういったところで探すとより早く見つけられることでしょう。
おすすめサイト
農業求人システム「農How」(一般型)「農Care」(農福連携型)
公式サイト:https://agritrio.co.jp/nouhow.html
人手不足の農家と短時間から働きたい働き手(クルー)をマッチングする愛知県豊橋発の農作業マッチングサービスです。マッチング時の利用料は1人1時間あたり300円で申し込みから給与払いまで、アプリ1つで完了します。これまで経験できなかった農作業が全国どこでも体験できるアプリで、1日単位・時間単位で仕事を見つけられるデイワークマッチングサービスであることから、他サービスに比べてキャンセル率が低く、リピート率が高いようです。
農家の「雇用したい」というニーズが徐々に増え、働き手の「農作業をしてみたい」というニーズと「農業バイトが楽しい」という口コミが広まり、マッチングに関して盛んな需要が確認されているようです。農Howの大きな特徴として、同社と農家が協力し、作業をすべてマニュアル化(動画や画像付きの資料)しており、働き手(クルー)は応募した農作業のポイントを事前に勉強することができることです。つまり農業の魅力を伝えるよりも不安を払拭することにポイントを置くことでリピート率を高めているようです。
「農How」は、個人と農家を繋ぐ新しいカタチのプラットフォーム。気軽に働きたい個人と人手不足に悩む農家のニーズをマッチングします。
「農Care」は福祉施設と農家を繋ぐ請負型農福連携プラットフォーム。福祉施設は工賃UPにより自信や生きがいを創出し、人手不足に悩む農家のニーズをマッチングします。
農家のおしごとナビ
公式サイト:https://www.agreen.jp/
農業・酪農の正社員・アルバイトの求人サイト!
農家のおしごとナビは全国の農業求人情報や酪農求人、肉牛求人、養豚求人、養鶏求人、競走馬求人などの牧場求人情報を集めた農業求人ポータルサイトです。ほかにも、新規就農希望者向けの就農イベント情報、農業への就職、転職を希望される方向けの求人情報、未経験者の農業体験の情報も提供しています。
いきなり農作業は難しくても、短期のバイトや、農業体験もできるので新しく農業を始めたい方や農業や畜産業に興味のある方にお勧めです。
あぐりナビ
公式サイト:https://www.agri-navi.com/
農業求人、酪農や牧場求人を集めたポータルサイトです。 全国の農家求人を掲載しており、ジャンルは、露地野菜・施設野菜・稲作・果樹園・牧場・酪農・畜産・養豚・養鶏・競走馬・乗馬クラブなどに加え、6次産業化を推進する農業生産法人や植物プラント工場など幅広い求人を紹介しています。まずは見学や農業体験からでもOKという農業生産法人・個人農家の求人も多数取り扱っているので選択肢が広いのも特徴です。
おてつたび
公式サイト:https://otetsutabi.com/
『おてつたび』は、お手伝い(仕事)と旅を掛け合わせた造語で、地域の短期的・季節的な人手不足で困っている農家や旅館などの事業者と、「知らない地域へ行きたい!」 「仕事をしながら暮らすように旅したい」と、地域に興味がある若者をマッチングするwebプラットフォームです。
ポイントは三つあり一つ目はお手伝いをすることで報酬をゲットできるので、交通費などの旅費を削減できること。二つ目は参加する前は名前も知らなかった地域に行くことで、新たな魅力を発見できること、三つめは繫忙期の農家や旅館のお手伝いすることで、お仕事という共通言語を通じて地域の方と信頼関係が生まれることです。
最大のポイントは、地域の魅力ではなく、地域の課題で人を呼ぶところにあります。物見遊山の観光ではなく、課題解決がそのまま地域の体験になり、来訪のモチベーションになることです。
まとめ
これまでと違い、農業は「農家」にならなくても、特定の時期だけ働いたり、スキルを磨いたり、好きな地域と関わったりなど、様々な形で働く方法も始まっています。
農業・地域が「人手不足」だから、移住者、新規就 農者の確保が重要だともいわれますが、その「人手不足」は、移住者・新規就農者の確保以外には解決できないのでしょうか。
移住・就農のみにこだわらず、農業で働くことへの関心を抱いてもらう仕組み作りが、その糸口だと考えます。
最近ではワーケーションや「半農半X」などさらなる多様化が進み、働く目的も希望する働き方も様々で、それぞれにあった「働きやすさ」を見つけることが重要だと言われています。
農林水産省のデータより算出された農業法人の常用雇用者の平均給与額は約200万円(月額17.3万円)でこれは新卒の給料と同程度の額になり、日本全体の就業者の平均月額給与32.3万円と比較すると低いといえます。このような賃金格差を背景とした他業種との競合もあるので、まずは「選ばれる産業」「選ばれる職場」になるためのポイントを検討すること。そして多様な人材の確保に向けて、他産業と遜色ない働きやすい環境を整え、誰もがやりがいがあり、働きやすい環境づくりも必要です。
何よりも楽しく!そして生業として儲かるようになれば、自ずと「選ばれる農業」になり「持続可能な農業」にも繋がっていくことでしょう。