これまで国内では環境は整っているのに「テレワーク」が浸透していなかった
企業がテレワークを続けるためには、考えなくてはいけないポイントが5点あります。大きく分けると、労務、設備、運用、営業、マネジメントで、それぞれに抑えておくべき項目があります。
1. 労務面
- 労働規則
- 勤怠管理
- 経費支払
- 人事評価
- 社員の健康管理、メンタルケア
労務面では上記のような、これまでは社内で行われていた業務や、属人化していた業務をリモートで取り組めるようにしなければなりません。
2. 設備面
- 社内PC、社内携帯の準備
- 社内イントラネット
- 社内インターネット
- シンクライアント、仮想デスクトップ
- セキュリティ対策
- クラウドデータベースのセキュリティ強化
設備面では上記のような、セキュリティの強固さを最重要項目とし、さらに社内外のどこにいても同じように情報にアクセスできる、システムを操作できる体制をつくらなくてはいけません。
3. 運用面
- メンバーの使用ツール
- メンバーの運用コンプライアンス
- メンバーの運用ルール
運用面では上記のような、リモートで業務を遂行するうえでは事前共有が欠かせない、細かなルール、内部規定、業務のチェックリストなどについても、考えなくてはいけません。例えば、会議のやりかた、カレンダーの入れ方など、すれ違いが生まれやすい部分をすり合わせておくことが大切です。
4. 営業面
- 社外打ち合わせ
- 営業活動、契約の締結
- 社内での情報共有
- 社外メンバーとのデータ共有
営業面では上記のように、社外の方との連絡方法やデータの共有について考えることが必須です。セキュリティ面だけでなく、誰もが使いやすいツール・サービスであるかどうか、も考えなくてはいけません。また、個人が営業活動から得た情報を蓄積し、共有できる仕組みづくりも欠かせません。
5. マネジメント面
- 人材管理
- タスク管理
- スケジュール管理
マネジメント面では上記のような、可視化しづらい「人材」の部分を、テレワーク中にも確認できるようにしなければなりません。
今回は「SaaSサービス編」
そのなかで、今回は「SaaSサービス編」と題し、 SaaSサービスに関する業務を円滑にするツールをご紹介します。「今後、社員のテレワークの時間を増やしたい」「在宅の働き方に切り替えていきたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。なお、記事内では、テレワークを促進するツール・サービスについて、2020年以後に変化した背景もあわせて解説しています。
国内のデジタル化にともなう3つの弊害
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに多くの企業や店舗が「出社しない働き方」として、テレワークを導入しました。緊急事態宣言の発出もあり、テレワーク化は急加速したものの、ワクチン接種率の向上や感染者数の減少にともない、以前の出社型に戻す企業が増えています。
一方で、コロナ禍以降、採用条件に「リモート可」という条件が加わった企業や、オフィスを撤退して全社員テレワークに踏み切った企業、テレワークと出社を柔軟に取り入れている企業も少なくありません。
総務省の『令和3年版 情報通信白書』によると、国内のデジタル化を阻んでいるのは、下記が主な要因であるとされています。
- ネットリテラシーの個人差
- セキュリティ面への不安
- 既存システムとの非接続
2019年以前のテレワークを阻む環境と社内外のデジタル格差
2021年9月1日「デジタル庁」が発足しましたが、それまでにも政府は、将来のIT化を見据え、さまざまな施策に取り組んできました。各所でテレワークを導入できるようにも働きかけてきた結果、日本では2020年までの時点でインターネット通信媒体がそろい、オンラインで仕事ができる環境自体は整っていました。また、オンライン営業システムやクラウド決済システムもすでにリリースされていました。
しかし、一部ではツールが導入されていたものの、多くのツール・サービスはまだIT感度の高い企業や個人に利用されている程度で、「ITリテラシーが十分でなければ使えない」「自社内ですでに導入しているシステムと一緒には利用できない」というものも多くありました。
また、デジタル化・電子化が進んでいる企業でも、社内ではオンラインを活用しているにも関わらず、社外との商談・契約・書類のやり取りは旧来のとおり「紙媒体」というところが非常に多く、「社外に関するデジタル化・電子化」が進んでいない状況でした。実際に、2019年以前は、企業のテレワーク導入数は、諸外国に比べるとあまり多くないという結果が出ています。
2020年以降、コロナ禍で国内企業のテレワーク導入が加速
急速なテレワーク化によって発生した、トラブルと新たな課題
2020年初め、新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークが一気に導入されました。まだ各社がビジネス利用するために十分なツールが揃っていない段階では、既存ツールに由来したトラブルが発生することもありました。
例えば、Skypeなどの同時接続可能人数がまだZoomには及ばず、Web会議システムの導入では、Zoom 一強状態でした。しかし、Zoomのセキュリティ機能も十分ではなく、その結果「Zoom爆撃(Zoombombing)」と呼ばれる、悪意あるミーティング参加者によって、不適切な画像や動画が共有される攻撃が発生しました。
また、テレワークの導入により、下記のような問題も顕在化しています。
- 出社日数の減少による社員のメンタルや体調の悪化
- 複数のツール導入による、仕事の業務効率の悪化
このような背景もあり、日本人の働き方に合わせた機能や、従来よりもセキュリティ性の高いツールやサービスなどが次々にリリースされています。
2020年以降に追加された主な機能
テレワークの増加にともない、下記のような機能が各ツール・サービスに追加されました。加えて、誰でも使いやすいデザインへの刷新も行われています。
- 登録、参加可能なユーザー数の大幅な拡張
- 遠隔で伝わりづらい「感情」の可視化(絵文字、挙手、ニックネーム等の表示可否の選択)
- セキュリティ面の強化(二要素認証、二段階認証、権限の細分化)
- 複数のシステムや他社ツールとの連携拡大
- チュートリアルやサポート体制の充実
- タイムスタンプ、チャプター追加、翻訳、字幕機能の自動化
このように、業務をより効率化できる機能や、それまで手作業だった業務をAIによって自動化できる機能などが実装されています。
また、働く場所や時間の多様化にともなって、ファイルのやり取りやWeb会議への参加も、PCだけでなくスマートフォンでも同様に行えるようになってきているほか、スマートフォン版のアプリを最初からリリースするツールやサービスも増えています。
2020年以降に機能が追加となったツール・サービス
Web会議ツール
ミーティング、商談、営業、採用面接、人事面談などに活用されるツールで、それまでのZoom一強状態から、各社でも最大人数制限を大幅に拡張したり、セキュリティ面の向上がはかられました。
加えて、オンラインでも意思疎通がとりやすい絵文字やリアクションが充実されたり、他の日程調整ツールやアンケート機能との連携が可能になったほか、社員間のITリテラシーの差を考慮した「誰でも利用できるUI」への改善も行われています。
一般の電話との相互通話を実現する機能があり、高音質で安定した通話が可能なツール。
- 最大100名までのグループビデオ通話が可能に
- リアルタイム字幕表示などを備えた
- デスクトップ版のビデオ通話で最大12名に同時表示が可能に
クラウドで使用できるWeb会議サービスで、Zoomサービス内にミーティングルームを開設し、ミーティングIDやパスワードを共有するユーザー同士で多地点と同時にWeb会議を行えます。2015年10月時点で、100人との会議が可能でした。
- アカウント管理者がほかの参加者の仮想背景を設定可能に
- スマホでログインしても、途中からPCに変更できるなど、デバイス間の切り替えを可能に
- 「離席中」を示す機能を追加
- 文字起こし機能を全無料ユーザーに開放
ほとんどのインターネットブラウザにインストールされている、Adobe Flash Playerを利用した会議が可能なウェビナーツール。ミーティングのほか、講義向けの「Adobe Connect Learning」などの3つの機能に分かれています。会議出席者の管理を行えるほか、ノート機能、Q&Aなどの項目の制御も可能。
- Adobe Connect 11.2 をリリース。
- ネイティブクローズドキャプション機能の追加で、聴覚障害のある参加者もオンライン会議に参加可能に
オンライン営業システムで、営業に特化した機能や録画・録音機能を有するツール。
- 不十分であった導入時のチュートリアルを見直し、誰でも操作できるように改善
「無駄な会議をなくすこと」よりも「会議の生産性を向上させること」を重視し、リニューアル。
「社歴・役職問わず誰もがアクション・成果につながる会議の実現」や「会議データの分析から組織の生産性向上・全社的な会議改善に貢献」するため、会議に特化したフォーマットとなった。
- 議事録のPDF書き出し
- 会議で決まったタスクの管理、リマインド通知、Asana・Trello などへの自動書き出し
- ファシリテーターを支援する機能の追加(タイムキーパーなど)
- 参加者の役割がわかる機能や日程調整機能も追加
コミュニケーションツール
2020年までは、従来のコミュニケーションツールであった「メール」から、より双方向でのコミュニケーションが取りやすい「チャット」への移行が主となっていました。
2020年以降は、チャットを介して、よりスムーズなやり取りができる方向へと舵を取り、絵文字の追加や、ツール内でのタスク管理・プロジェクト管理機能の追加、権限によって閲覧制限をかける機能など、企業内で円滑に使用できることを目指したアップデートが各社で行われています。
グループチャット、1対1のメッセージング(Direct Message)、音声通話をWebサービスとして提供しており、Slack内部のすべてのコンテンツは、一つの検索ボックスから検索可能。また、APIが公開されているため、Google ドライブやTrelloなどのWebサービスや自作のアプリケーションとも連携可能。独自の絵文字登録もできる。
- 各種VoIPサービスと連携し、Slackから直接電話番号へ発信できるように
- 読み込み速度を向上
- 共同作業をより円滑にする、通知パネル、メンション、ファイル共有、メディアギャラリーの機能をリリース
クラウド型ビジネスチャットツールで、メッセージのやりとりのほか、タスク管理やファイル共有、ビデオ通話なども可能。現在は、Zoomとも連携できる仕様に更新されている。
- ブックマーク機能の追加により、投稿メッセージをあとから簡単に読み返せるように
- 初回登録時のチュートリアルがいつでも再生可能に
- チャットルーム内のメッセージ検索の拡張
- アカウントの切り替え機能の追加
- 「マルチアカウント」機能の追加(モバイル版アプリでは、複数のアカウントを簡単に切り替え可能となった)
- メンバーの属性を絞り込みできる機能の追加(管理者・メンバー・閲覧のみ・組織外・コンタクト未追加ごと等)
- スマ―トフォンからも画面共有が可能に
- 会議中の背景をカスタマイズできるように
- チームとチャネルの分析が可能に (投稿、返信、会議の数に関する新しい指標とグラフ)
- 「手を挙げる」機能を追加
- 機密ラベルの使用で、チーム内の共同作業中に作成された機密性の高いコンテンツへのアクセスを規制可能に
- 【2021年以降】ビデオフィルターモードの追加
グループ、チャット、ルーム、ライブ動画配信などの機能を有する社内コミュニケーションツール。インサイトによる効果測定や、アンケート機能、自動翻訳機能も搭載している。
- 「Workplace by facebook」から、社名変更に伴いリニューアル
- 言語の切り替えが簡素化
- 動画にチャプターを自動で追加可能に
- ライブでのQ&A、コメントの見やすさを向上
- ドキュメントの共同編集が可能に
- Microsoft Teamsの連携を発表
タスク管理ツール
2020年までにリリースされたタスク管理ツールは多々ありますが、2020年以降はタスク管理ツール単体ではなく、それらを他のツールと連携して、より手間を減らしつつ、タスクの漏れを防ぐ使い方が浸透しており、それを実現する機能が追加されています。
元Facebookのエンジニアが開発したサービスで、ToDo管理のほか、業務の全体像などのあらゆる情報を一元管理できる。
- 共有可能な招待リンクや、高度な検索ビューなどの機能追加
- 校正機能を画像だけでなく、PDFでも使用可能に
- 通知のオンオフ、サイレントを設定可能に
- Microsoft Teams との連携
- コメントに対して「感謝」のリアクションを送れるように
カード方式で、視覚的にわかりやすく、タスクを管理できるツールで、Slack、Dropbox、Google Driveなどの作業ツールとも連携可能。
- ダッシュボードビューを刷新
- 過去 30 日間のリストごとのカード数を表示できる履歴レポートを利用可能に
- 作業の進捗を時間を追って確認できるように
ワークフロー(社内決裁)ツール
「直感的な操作」を実現したワークフローシステム。社内業務や承認フロー、管理体制などを効率化できる機能を搭載しています。
- 約10年ぶりとなるメジャーバージョンアップを実施
- UIを刷新したほか、スマートデバイスアプリ、API、関連書類自動作成などの機能を実装
- オンプレミス版からのクラウドへ円滑にシフトできる、データ移行プログラムを用意
電子契約サービス
2020年までは、紙でのやり取りが多かった申請書類・契約書類も、そのほかのツールがクラウド型に移行し始めたことで、2020年以降は電子化が進んでいます。
社外とのやり取りのために、電子印鑑の機能が追加されたり、社内稟議をツール内で作成から決済まで進められるツールも増えています。これにより、ケアレスミスや遅延が置きやすい提出状況の管理についても、クラウド上でひと目で確認できるのも特長です。
「紙と印鑑」を「クラウド」に置き換え、契約作業をパソコンだけで完結できるWeb完結型クラウド契約サービス。
- 社外とのやり取りや、複数部署管理機能が可能に
- メンバーグループ機能、キャビネット機能、アクセス許可機能、監査ログ機能を追加
従来の電子契約をさらに進化させることをコンセプトとした、法学者と大手弁護士事務所が監修のデジタル契約サービス。契約書をペーパーレス化するほか、契約金額や支払期日の管理も可能。
- ワークフロー機能の追加で、必要な稟議・申請の手続きをオンライン化して、在宅勤務での手続きを可能に
- 二要素認証を実装
NINJA SIGN by freeee:2019年リリース
2019年にリリース後、freeeと連携した弁護士監修のワンストップ電子契約サービス。ワークフロー設定で、契約書の依頼から承認まで行えるほか、契約書レビュー時の履歴も残すことが出来ます。
- 契約書に担当者の設定が可能に
- 「マイ印鑑」や、印鑑画像作成機能、署名の転送を実装
- 二要素認証、API連携が使用可能に
- 契約締結情報がPDFで発行できるように
- Chatworkに契約書を共有できるように
- アドレス帳機能をリリース
データ共有・ファイル共有ツール
社内だけでなく、社外の顧客や取引先とも共同作業が可能なプラットフォームで、セキュアなファイル共有が可能。また、ファイルの編集、バックアップのほか、タスクの割り当て、契約書のやり取り、デジタル資産の管理なども行える。
- Microsoft 365 との統合拡充
- フォルダとファイルをより高性能にアップデート
- Salesforceとの連携機能を強化
- スマートフォン版アプリにキャプチャー機能を追加
従来のファイル、クラウド上のコンテンツなどを全部まとめることができるツール。
- 必要なファイルを探し当てるための、整理整頓機能等を強化(例えば、デジタルファイル管理を自動化でき、ファイル名やタグを自動で付与可能)
- ファイル形式の変換機能追加(PEGからPNGへの変換等)
- バーチャルワークスペース「Dropbox Spaces」をリリース
スクリーンキャプチャーを簡単に撮影・保存・共有できるサービス。撮影と同時にアップロードとURLのコピーが完了します。静止画・動画のほか、ゲームのハイライトや開発時のバグなどの撮影も可能。
- 動画のトリム機能を追加
オンラインホワイトボードツール
Zoom Meetingなどに搭載されているホワイトボード機能のほか、ホワイトボード単体のツールも導入が拡大しています。2020年以前、海外で一般的に利用されていたツールが、2021年頃より日本市場にも参入してきており、今後日本語対応ツールが増えていく見込みです。
いわゆるホワイトボードとしての機能のほか、ブレインストーミングやフローチャートなどのテンプレートを有しているツールがあり、リモートでも意見や考えがすり合わせやすい仕組みとなっています。
世界的に使用されているホワイトボードツール。シンプルなデザインで直感的な操作が可能で、フローチャート・マインドマップなどのテンプレートも豊富。公式サイトは日本語未対応。Zoom・Slack・Microsoft Teamsなどとの連携も可能。
- 2021年より、日本市場に本格参入。2022年2月日本語版リリース予定
ダウンロード不要のクラウド型ホワイトボードツール。ブレインストーミングやミーティングなどに直感的に使用が可能。ファシリテータ―とメンバーに役割を分けられるほか、タイマー機能もあるため、ミーティングでの使用に向いている。
- 共同作業者が使用するツールバーをカスタム可能に
- 絵文字でリアクションを知らせられるように
- 同時作業中、他者のカーソルを非表示にできるように
- ボード内で「クイックトーク」を使用すると、すぐ通話の開始が可能に
タレントマネジメント・チームマネジメントツール
社員や外部の人材、あるいはチーム全体を管理するためのツールです。2020年以前からリリースはされていたものの、2020年以降にリニューアルされて、人事部門がリモートでも人材管理をしやすいツールに進化しています。
スキル、社員名簿などをクラウドで一元管理できるタレントマネジメントシステム。人事データベース作成や、従業員ごとに書類の提出状況なども確認可能。
- データを集計し、時系列での分析やグラフ作成、共有可能なダッシュボード機能を追加
- 紙やExcelで運用していた申請業務をデジタルに行える、ワークフロー機能を追加
Lychee Redmine(ライチーレッドマイン):2014年リリース
「リソースマネジメント」機能を有する、プロジェクト管理ツール。リアルタイムでメンバーの稼働率や空き状況を確認できるため、適切なアサインが可能。また、ガントチャートとの連携で、負荷状況を考慮した自動スケジューリングもできるほか、工数による費用算出、収支予測も行えます。
- 未読の新着通知に気づきやすいアイコンに変更
- グループのタスク表示が可能に
- ガントチャート上で「バッファ」の開始日や消費を確認できるように
マネジメントの実行支援ツール。各メンバーの状態を視覚的に把握できるため、フィードバックや評価がしやすく、個人に寄り添ったマネジメントを実行できる。3段階で示すヘルスチェック機能あり。Slack、Microsoft Teams、Chatworkなどの外部ツールと連携可能。
- フルリニューアルを実施し、属人化しやすいマネジメントの部分をスコアで表示可能に
- 多段階評価が可能に
- フィードバックを公開するタイミングが選択可能に
社内ネットワーク、PCのセキュリティ強化ツール
社員のリモートワークが増えたことで、社内以外からのアクセスを管理するツールが増えています。特に2020年以降は、海外から遅れを取るかたちで、国内でのIDaasサービスの需要が高まっています。
IDaaSは、個人のIDやアクセスなどを管理できるもので、複数のアプリへのログインを一元化できるシステムサインオンの機能や、社内で不自然なアクセスの動きがあれば監視する機能などが搭載されています。
仮想デスクトップで、端末に情報を残さない、持ち出させないテレワークプラットフォーム。
- 新サービス「CACHATTOリモートデスクトップ」の提供を開始
- デジタル証明書が不要の端末個体認証機能や、ワンタイムパスワード機能など、複数の認証機能を組み合わせることで、組織のセキュリティポリシーに適した運用を実現
Okta Identity Cloud:2009年頃リリース
Oktaが提供するクラウド型のID管理サービス。リモートワークによるアクセスを保護し、セキュリティを強化できる。主に複数のシステムにシングルサインオンできるており、従業機能などを提供し員のほか、顧客やパートナーのアクセス保護、資格情報などの各種データへのハッキングをブロック可能。
- 国内拠点を開設し、日本市場に参入
Azure Active Directory(Azure AD):2013年リリース
Windowsが提供するクラウドベースのエンタープライズ向けID/アクセス管理サービス。Offce 365やWindows Azureなどのアクセス管理が可能。主に従業員のアクセスを管理でき、シングルサインオン対応でユーザー名やパスワードの入力が不要となっている。その他にも、疑わしいアクセスを自動的に検出して、アラートを鳴らすなど、組織内のID監視に役立つ機能も有する。
- ユーザーの最終ログイン日とタイムスタンプを表示可能に
スケジュール共有ツール
社内外とのスケジュール調整を簡単に行えるツールです。2020年以降、各種コミュニケーションツールとの連携も可能となっているほか、より簡単に少ない操作でスケジュールを確定できるツールが増えています。
日程調整自動化管理ツールで、Zapier連携でCRM(顧客管理ツール)、ATS(採用管理システム)などの3,000以上のアプリケーションとの連携が可能。
- イベント当日にアンケートフォームの自動送信や、次回アポ設定の自動化が可能に
そのほかのテレワーク促進ツール
AIが通話内容を自動で音声化、テキスト化するクラウドIP電話サービス。
- Googleスプレッドシートからクリックコールする機能を追加
クラウド人事労務ソフトで、年末調整のペーパーレス化や、雇用契約書などの文書配付も可能。
- 「人事評価」機能を追加
- 登録済の従業員情報をもとに、評価シートや評価のフローを自由にカスタマイズが可能に
経理や人事労務などのバックオフィス業務を自動化するクラウドサービス。
- 電子契約、仕訳承認機能、社内のSaaSを可視化する機能などを続々と追加
- 会計業務だけではなく、ワークフロー全体をサポートするサービスに
遠隔で体調・メンタルなどの医療相談ができるサービス。
- 副業・複業時代の新しい働き方に合わせた行動原則・行動規範を策定によって、法人企業のテレワークを支える福利厚生として、導入が増加
- 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を更新
2020年以降に登場したツール
リモートでオフィス以外で働く方法を選ぶと、企業はこれまでと同じ方法では人事的な評価がしづらく、タスクの進捗管理もしづらいという状況がありました。テレワークで働く人にとっても、テレワークで会社に居るときと同等かそれ以上の成果を求められることは苦しい場合もあり、業務時間外に働きすぎてしまう人も出てきました。
このような背景から、テレワーク中の孤独感解消と、チームのコミュニケーションの活性化を実現するための「バーチャルオフィス」や「雑談アプリ」などが登場しました。また、社員の心身の健康状態を確認できるサービスも導入されるなど、テレワークの導入の流れは、テレワークの促進と改善・改良へと現在変わってきています。
元々は「Google ハングアウト」でしたが、ビデオ会議機能を「Google Meet」、チャット機能を「Google Chat」としてそれぞれ分離しました。
元々は「Google ハングアウト」でしたが、ビデオ会議機能を「Google Meet」、チャット機能を「Google Chat」としてそれぞれ分離し、2020年4月にリリース。
2020年5月にリリースされた、コミュニケーションの活性化を目的に、Botがメンバーのことを教えてくれるSlackアプリ。社員全員へ質問したり、その回答を発表したり、新メンバーを紹介できる機能を持つ。
「バーチャル空間」への出社で、テレワーク中のコミュニケーションを活性化する。オフィスのレイアウトを模した画面とアバターで現実のオフィスを再現でき、「誰が、今、どこにいるか」を把握しやすくなっている。会議室の機能もあるが、相手のアバターに近づくだけでも会話ができるため、新規にミーティングURLを発行したり、チャットグループを作ったりする手間を軽減できる。
請求書の受領をメール以外でやり取りできる、クラウド型の請求書受領サービス。請求書をオンラインで受け取れるほか、インボイス制度にも自動対応可能。
参加者の予定をふまえて、候補日を自動で抽出できる、日程調整カレンダープラットフォーム。国内のミーティング日時の検討のほか、タイムゾーン機能の追加により、海外の方との日程調整も可能となっている。Googleカレンダー、Microsoft Teamsにも対応済。
運動を促す福利厚生サービス。スマートバンドやヘルスケアアプリと連携して、歩数・心拍数を記録し、運動が習慣化するきっかけを提供する。また、テレワークでコミュニケーションが不足している社員同士が集まるイベントを開催できる機能もある。
あとがき
2020年以降、日本企業で一気に導入が進んだ「テレワーク」のさまざまな弊害を解消する機能が登場しました。また、社員がテレワークを実施する中で浮上した困りごとをカバーする機能が新たに実装されたり、新たなツールやサービスがリリースされたりしています。
現在、人の視線などの言語化されていない感情を読み取る機能が研究されているほか、今後は出社しないことが前提となるシステムづくりも活性化していく模様です。「まるでその場にいるように、コミュニケーションができる」「人と人とのコミュニケーションがスムーズになる」といったような、テレワークを促進するツール・サービスが増え続けるでしょう。
参考文献
「令和3年版情報通信白書」(総務省,2021)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd101000.html
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112000.html
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd123400.html
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd105220.html
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/ne210000.html
「コロナ下でのテレワークの課題とはー「日本型テレワーク」を目指してー」(総務省,2021.5.18)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/post-corona_digital/02ryutsu18_04000001_00002.html
「通勤困難な状況下でのテレワーク実施を可能とする要因に関する一考察」(吉見憲二,藤田宜治,総務省,『情報通信政策レビュー』第12号,2016.3)
https://www.soumu.go.jp/iicp/icp-review/icp-review_12.html
「テレワークが従業員に与える影響についての予備的研究」(千野翔平,リクルートワークス研究所,DISCUSSION PAPER,2021.2.5)
https://www.works-i.com/research/paper/discussionpaper/2019/DP_0025.html
「超臨場感テレワークシステムの提案」(金丸 利文,徳満 昌之,野中 雅人,日本テレワーク学会,『日本テレワーク学会研究発表大会予稿集』12巻,2010)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jatsp/12/0/12_KJ00006812902/_article/-char/ja/
「テレワークの推進とその効果~感染症抑制、生産性向上、ワークライフ・バランス~」 (佐藤 栄一郎,財務総合政策研究所『財務総研スタッフ・レポート』通巻4号,2020.5)https://www.mof.go.jp/pri/publication/research_paper_staff_report/2020.html
参考にしたサイト
2020年のテレワークを総括する~日本の就業者のうち2,000万人近くがテレワークの対象者に~|NRI
【50選】無償提供中のテレワーク支援プロダクト・サービスをまとめてみた|HR NOTE