2020年より世界で大流行している新型コロナウイルス感染症の影響により、高校生・大学生・専門学生などのいわゆる「新卒」の就職活動の形も大きく変わりました。今回は現役大学生の今井さん(仮名)・美容専門学生の大岡さん(仮名)の2人にインタビューをしました。リアルな就活生の声を元に具体的にどのように変化したのか、新しい就職活動の形について考えていきたいと思います。(※インタビューは2021年9月に実地されたものです)
2019年以前の就活と2020年以後の就活 その具体的な変化とは?
就活を終えて
僕は今年22歳で、京都にある大学の外国語学部に通っています。
私は今年20歳で、兵庫県にある美容専門学校のトータルビューティー科に通っています。
2人ともすでに内定をいただいたとお伺いしました。おめでとうございます。就職活動を終えた、今の率直な気持ちを聞かせて下さい。
とりあえず今はホッとしています。でも、コロナの影響で友人達と「就活お疲れ様会」的な飲み会が出来ないのがとても、残念です。早くコロナ終息してくれないかなと思っています(笑)
私も、同様にとてもホッとしています。かなりの数の企業を受けていたので、本当に精神的に疲れました……。今は仕事が始まるまでの時間をのんびりと過ごしています(笑)
2人とも本当にお疲れ様でした。遅めの夏休みがやっと来た感じですね(笑)
今年は就活でとても忙しかったのでとりあえず一段落です。
就活スケジュールの変化
コロナ禍以前の就活スケジュールは大学3年の3月にエントリーが始まり、早いかたは大学4年の6月には内定が出始めるというかなりタイトなスケジュールで行われていました。2人の就活スケジュールはいかがでしたか?
僕は去年(2020年)の8月頃から、インターシップの選考を少しずつ受け始めていました。本格的に面接を受け始めたのは今年(2021年)からです。トータルで10社ほど受けたのですが、だいたい週1の頻度で面接を受けてましたね。
私は去年 (2020年) の12月頃から就活を始めました。緊急事態宣言が出たりとコロナ禍真っ最中での就活だったので、中々就職先が見つからずかなりの数の企業を受けました。リモート面接と対面面接の半々で週3、4回の頻度で受けました。
就活費用の変化
就活するのにも遠方の会社ですと、移動費や宿泊費などで費用が結構かかると思います。僕の周りではおよそ10万ほどかかったと友人から聞きましたが、2人はどれぐらいかかりましたか?
僕はリモート面接が大半だったのでほぼ0円でした。何か所か対面での面接がありましたが基本的には自宅でリモート面接だったので、少し移動の交通費がかかったぐらいで、それ以外はほとんどかかりませんでした。
私はリモート面接と対面での面接が半々でした。移動費にトータル1万円ぐらいですね。遠方の企業などは基本リモート面接だったのでこれぐらいで済んだのかなと思います。
逆にコロナ禍でリモート面接を導入した企業が増えたからこそ費用がそこまでかからなかったのかもしれないですね。
本当にそうです。
就活スタイルの変化
2人とも新型コロナウイルスの真っ最中の中での就活だったと思うのですが、従来の就活スタイルと変わった点はありましたか?
就活スタイルは特に変わっていないと思います。例えば、リモート面接でも、僕は「黒髪」「黒スーツ」「白シャツ」という定番スタイルで就活していました。
私も同じですね。特に就活スタイルは変わってないと思います。
なるほど。従来の就活スタイルと特に変わった点はないということですね。
そうですね。
使用する求人サイトの変化
就活をされていた時、主にどのツールやサービスなどを利用されていましたか?
僕はマイナビ・リクナビなどの就活サイトを利用していました。大学のキャリアセンターの人に企業の掲載数が多いのがマイナビという話しを聞いたので、そこからは主にマイナビを中心に利用していました。
私もマイナビ・リクナビなどの就活サイトを利用していました。でも、口コミを聞いて応募したりや、知り合いに紹介されて応募したこともありました。
僕の友人達も就活サイトを利用して就活をしていたので、新型コロナウイルス関係なしに今はほとんどがWebサイトなのかもしれませんね。
そうだと思います。手軽に見れるし、電車などの移動中も利用出来るのでとても便利で助かりました。
業界や業種・業界の変化
新型コロナウイルスにより様々な業界が影響を受けたと思うのですが、2人が志望していた業界や企業に変化はありましたか?
僕はやりたいことが特になかったので、IT・物流・医薬品・商社・メーカーなどとにかく様々な企業を受けました。特に変化は感じませんでした。
私はメイク業界を志望していたのですが「新卒を取らない」と宣言する百貨店があったりなどしたので、私を含む周りの友達は志望業界を第2候補に変更しました。
経済産業省の公式ホームページによると「2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で化粧品全体の売り上げは大幅に減少しました。」と掲載されていたので、業界自体がかなりの影響を受けていますね。
私はメイク業界を目指して専門学校に入学したので、何のためにこの学校に入学したのか分からなった時期がありましたね。
求人倍率の変化
先ほどの大岡さんの話を伺っていると、求人倍率が増加したと思うのですが、2人はどのように感じられましたか?
僕は特に気にして見ていませんでした。今は転職するのが当たり前の時代だと思うので、とりあえずラフに受けました。しいていうなら、コロナ禍でリモートワークの普及率がとても上がったので、IT関連の会社は倍率が例年よりも倍になったと知り合いに聞きました。
メイク業界を含む美容業界の求人倍率はかなり増えたと思います。面接を受けた企業の採用担当の方の話を聞くと、どの企業も採用枠が大幅に減ったと言っていました。
新型コロナウイルスの影響を機に今の仕事を見つめ直し、転職をしようと考えた方も多かったと思うので、それらの影響もかなりあるのかもしれないですね。
意外にも「就活マナー」の変化は感じない 一方でオンラインならではの「難しさ」
「マスク」に関するマナー
コロナ禍にともない、就活マナーや新入社員マナーも多少なりとも変化したと思うのですが、2人はどのように感じられましたか?
僕は特に変化を感じませんでしたね。でも、今の時代どこに行くにもマスク着用が必須なので、変化した点といばその点ぐらいです。稀に企業によっては、表情をアピールしたい方はソーシャルディスタンスを保った上で、マスクを外しても良いですよと言う企業もありました。
私も就活マナーについてには特に変化は感じませんでした。唯一、気をつけていた点は、洗えるタイプのマスクは使用し続けると色が変わったりするので、なるべく面接の際は新しいマスクか白の使い捨てマスクを着用していました。
マスクの色落ち1つでも、印象がかなり変わりますもんね。
僕も今思えば、そこは気をつけた点でしたね(笑)
「オンライン面接」に関するマナー
2人ともオンライン面接は初めてのことだった思うのですが、その中で最も注意していたことはなんですか?
僕は全身スーツで基本面接を受けていました。大学のキャリアセンターの人に、面接中に「立って」とズボンを着用しているかチェックしてくる企業もあると言われていたので、念の為ズボンも着用していました。
私は部屋の角度とWi-Fiをしっかりと準備していました。部屋の角度も、後ろに物があったりすると良くないという話を学校の先生に聞いていたので、物が写らないアングルで面接を受けました。
Wi-Fiも弱いものだと電波が悪くなってしまい、途中で途切れたりして会話を中断してしまうので、かなり気をつけました。
今井さんのお話を聞いて、私もちゃんと全身スーツで面接を受けていて良かったなと思いました(笑)
なるほど。2人とも全身スーツを着用していて良かったです(笑) オンライン面接をしてみて特に難しかった点はありますか?
やりづらかったことはPCのカメラを見ると相手の表情が見えない点ですね。
私も同じです。相手の表情を見たいけど表情を見ようとするとカメラから目線を外すことになるので、その調整がとても難しかったです。
確かにリモート面接で1番難しい点ですよね。
そうですね。事前に友達とリモートで練習して、準備をしていました。
「エントリーシート」について
エントリーシートの内容はどのようなものを書かれましたか?
僕は自己PR・学生時代頑張ったこと・志望動機を書きました。従来のエントリーシートと特に変わっていないと思います。
私も同じです。基本的にWebでのやり取りでしたね。でも、企業先によっては印刷して郵送で送ったりしました。
なるほど。基本的には何も変わってないみたいですね。
そうですね。時代的にWebでのやり取りが増えたのかなと思います。
「合同説明会・入社式・懇親会」について
合同説明会とかは既に行われましたか?また、どのような雰囲気でしたか?
説明会は対面でした。スーツとマスク着用で、ソーシャルディスタンスを保っての説明会でした。でも、内定式はリモートでの開催でした。
私はリモートでの説明会でした。スーツ着用で上半身を写した状態で説明会を受けました。
入社式や懇親会などはどのように開催されますか?
入社式は説明会と同様対面と聞いています。懇親会については今の所何も聞いてないです。
私は懇親会は開催されないと聞いています。入社式についてはリモートか人数を制限して日を分けての対面と説明を受けました。
それぞれのメリット・デメリット
2人の考えるリモート面接のメリット・デメリットを教えて下さい。
僕の思うリモート面接のメリットは会場に直接行かなくて済むので、交通費などの就活費用があまりかからない点だと思います。コロナ禍になって、バイト先が潰れてしまった友人達もいたりしたので、平等にチャンスがあって良かったと思います。
デメリットは面接の際、相手の表情が見えないのでとても難しかった点です。
私もリモート面接のメリットは同じです。私はかなりの数の企業を受けていたので、もし全て対面面接だったとしたら就活費用はとても負担になっていたと思います。
デメリットは学校の先生達も初めてのリモート面接だったりするので、誰にリモート面接について相談をすればいいのか分かりませんでした。
反対に対面面接のメリット・デメリットを教えて下さい。
対面面接のメリットは相手の顔をしっかりと見て、話しができるのでメリットかなと思います。
デメリットはマスクを着用した状態で会話をしないといけない点かなと思います。マスクで声がこもらないように気をつけて、大きい声で話そうとすると自分で思っているよりも、大きい声になったりするので声のボリュームの調整が難しかったです。
対面面接のメリットは、今までに対面面接をしてきた先輩や学校の先生のアドバイスがもらえるので傾向と対策をしっかりと行い面接にのぞめる点かなと思います。
デメリットは、今井さんと同じです。マスクを着用しているので、普段通りに話すと聞き返されることがあったのでそこは難しかったです。
2人とも長い時間ありがとうございました。おふたりの今後の活躍を楽しみにしています!
まとめ
変化した点
- 面接や説明会がリモートに変わった。
- 就活費用があまりかからなくなった。
- 面接前に準備するもの(Wi-Fiや新品のマスクなど)が増えた。
- 求人倍率が上がった。
変化していない点
- 就活スケジュール
- 就活マナー
- エントリーシート