大阪府出身。 大学在学中に、服飾の専門学校にも通う。卒業後は「お客様のスタイリストになる」のを目指し、ファッション業界に就職。2020年からは店長に就任。大阪の下町で夫と二匹の猫と暮らしている。
他者とは違う“何者”かになりたい そのきっかけがファッションだった
小さいころから服へのこだわりがあったのですか?
小学5年生の頃からお洋服に興味を持つようになりました。すると、母親に買ってもらった服を着るのがだんだんと恥ずかしく感じるようになって(笑)中学にあがり『Zipper』などの青文字系雑誌を読むようになってからは、ほかの子たちとかぶらない「古着」がますます好きになりました。制服も当時流行っていたミニスカートからロングスカートにアレンジしたり。古着屋にはよく通っていました。
高校に入学した当初には、「おしゃれやなー!」といろんな人から話しかけられて、その中には、高校受験のときに私の姿を見て「喋りたいと思っていた」と言ってくれる人まで居ました。思い返すと、ファッションの力をすごく感じた出来事でしたね。
大学進学も服飾関係の学校を選んだのですか?
いいえ(笑)高校は自分の好きな服が着られる学校を選びましたが、大学受験では、ツアーコンダクターを目指そうと思っていたので、歴史や文化を学べる学科を選択しました。でも、入学1年目で「これは違うな」と気づいてしまいました。
「なりたいもの」が違うと気づいて、焦ったり悩んだりしませんでしたか?
「ツアコンは違う!」と気づいたときも、ファッションへの興味はずっとあったんです。だから、今の自分がやりたいことを貫き通しました。例えば、mixiで仲間を探してショーに参加したり。スタイリストになるために、アルバイト代を服飾の専門学校の学費につぎ込んでみたり。
なぜ「服」が好きになったのでしょう?
昔から「自分の理想像」というのを考えていたのですが、その理想に自分自身をすぐに近づけることは難しくて。でも、ファッションであればすぐに自分の手で変えられるし、理想に近づいたことがよりリアルに実感できるから、好きなのかもしれません。
「いま」はどんな服が好きですか?
自分らしさを表現できる服や、ちょっとクセがあるものが好きです。また、「自然さ」も大事にしていて、無理に気張ってる感は出したくない。だけど、普通すぎるのも嫌なので「ちょいダサ」が私のファッション・コンセプトです。「外す」のがすごく好きですね。この外し方が、人との違いをつくるところだと思っています。
好んで着ているブランドはありますか?
例えば、コムデギャルソンも好きですが、その中でもよりシンプルなデザインのものが良いですね。基本的には、生地が良いものを着たい。素材で言うと、天然素材。それ以外のものはほぼ着ないです。
あとは、マーガレットハウエルも好きで、マニッシュでハンサムな雰囲気が私の好みに合っていますね。
パートナーは私の「絶対的な味方」 だから何があっても私らしく頑張れる
他の人とは違う選択をするとき、周囲の声に迷うことはありませんか?
他のひとにあまり興味がないのかもしれません。私はいつも自分がしたいことをしています。
職場でも後輩からよく「どうしてそんなにポジティブでいられるのか」と相談されますが、私が仕事を続けられるのは、10年近く一緒にいるパートナーの存在があるからです。
彼とのご縁も「ファッション」から始まりました。彼は何があっても私の味方。
仕事で辛いことがあって、帰宅して彼の顔を見たら泣いてしまいました。その時は、抱きしめながら静かに話を聞いて、慰めてくれました。仕事の愚痴があるときも、それをネタに笑わそうとしてくれるから、毎回「まぁいっか」となります(笑)
絶対に否定しないし、私のことを人に悪く言わない。私の気持ちに賛成してくれる。その安心感が常にあります。これからも、そうだと思います。
だから、私はそのとき「やりたい」と思ったことを、全力で楽しめています。それに彼といると、「そんなに難しく考えなくていいか」となるので、悩みがあってもすぐに忘れられるんです。
やりたいと思ったらすぐ実行!“楽しさ”が私の原動力
就職企業の決め手は?
専門学校の経験からスタイリストになることは難しいと感じましたが、店頭に立てば「誰かのスタイリストになれる」と思ったんです。いま働いているファッションブランドでは、50歳で店頭に立っていても、とてもかっこいいだろうなと感じたことが決め手でした。ファッションに対する情熱は、燃え尽きたことがありません(笑)
ファッションへのモチベーションはどこから?
ファッションは、人のオーラを作り上げるものだと思うんです。洋服だけじゃなく、メイクやヘアスタイル、姿勢も全て含まれるから、人と接して生きていく中でも、とても大切な要素ではないでしょうか。
それに、人生は「誰と過ごすか」で随分と楽しさや濃さが左右されると思います。その誰かを惹きつけるのもファッションの役割だと、私は思っています。
だから、「楽しく生きていきたい!」という人にはぜひおしゃれをしてみて欲しいですね。
好きになったらとことん?
熱しやすく冷めやすいんです(笑)
2年前には将棋にハマっていて、頭のなかが将棋のことでいっぱいになってました。休日はずっと対局の動画を視聴したり、将棋バーへ行ったり、棋士の先生の著書を読んだり。タイトル戦の前夜祭に行くためにコーディネートを考えたり、着付けを習ったり、生活の全てが将棋に向いていて、すごく楽しかったです。
基本的に、ハマったらひたすら調べまくります。本、雑誌、インターネット検索……何事もハマっているときは「楽しい」という気持ちでいっぱいで、覚えることが多くても全く苦になりません。それも楽しい(笑)周囲に驚かれるほど夢中になります。
多分、惚れっぽいのだと思います。恋愛をするように熱狂的にハマって、頭の中がそのことで埋めつくされる。これからも新たな好きなものが出来て、その度にハマるのだと思います(笑)
理想を追い求めすぎるとどこか窮屈に感じる だから、「今」ある感情を大切に
フジハラさんはどんな人でありたいですか?
難しいですね。「こうなりたくない」はいっぱいあるかも(笑)
一人の人間の中にもいろんな感情や表現があって、私の中にも相反する面があります。「こういう人になりたい」と考えてしまうと、どこかで帳尻を合わせないといけなかったり、無理をしないといけない時がくる。だから、その時によって変わる考えや感情を大切にして生きていきたいなって思います。そうしたら後悔なく生きられそう。
仕事の面では、将来的には独立をしたいと考えています。やはり、一会社員というのが窮屈に感じることもあって。
社会人になってから両親に「どんな大人になって欲しかった?」って聞いたことがあります。そのときに、「何かになって欲しかったとかはないけど、あなた(フジハラさん)をずっと見てきて、もっとクリエイティブな方向の職業につくと思ってた」って言われたんです。自分でもずっとしっくりきていなかった部分だったので、「確かに」と思いました。
今でも楽しく仕事はしていますが、子どもの頃から何かを作ることや美術も好きだったので、天職は他にもあるのだろうと、いまも模索中です!